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2008.05.06

宣告

このゴールデンウィーク中に親しい先輩を見舞った。窓を大きくとった病室はとても明るく、まるでビジネスホテルの一室のようなたたずまいは快適そのものだ。ただし、その部屋の主の気分を除けばだが。

癌を宣告されて2年。この間続けてきた抗癌剤治療も徒労に終わり、もはや手の施しようもなく、ついに余命数ヶ月までせまりつつあるという。つい、この春まで同じ現場で仕事をしていたのに。元々発見された時点で手遅れで、進行を遅らせるだけの治療をしているのだと何度もその話は聞いていはいた。

ともあれ、この1~2ヶ月の間に病状はさらに進行し、頬の肉は削げ落ち、それが本来は年齢(とし)相応なのかもしれないがまるで老人のようになってしまった。

今となっては話を聞いてあげること以外にできることはない。でも、明るく振舞うその言葉の時々やってくる会話の途切れ。そんな顔を窺って想像できるそのおよそ数億倍もの苦悩が途方もなく大きな溝となって二人の間に空虚な隔絶をつくる。窓外のにぎやかな雑踏にその溝を埋めることはできない。

「また近いうちに伺います」などと別れの言葉を交わしたが、これが最後かも知れない。というのもこれ以上は、彼と親族だけの親密な世界のような気がして、これ以上そこに踏み込む気にはなれない。

何ともつらい。

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