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2009年7月

2009.07.27

手を合わせる姿

部屋のカーテンを開けると、ベランダ越しに近所の公園がよく見える。

早朝。犬を連れて散歩する人。ウォーキングをする人。酔いつぶれてベンチに寝転んでいる人。まだ街灯が灯っているというのに、ここには大勢の人がやってくる。

そうした中に、あのホームレスがいた。レジ袋にアルミ缶を詰め、それを台車のようなものに山積みにし、おそらくその台車の上のものが全財産だろうと想像できそうな持ち物。黒く鈍い光を放つ衣装。公園のトイレの脇に陣をとり、昨夜からここをキャンプ地にしているようだ。この公園なら適度に明るいし、人の目もある。ふらちな若造に狙われることもないだろう。

ホームレスを云々するつもりはない。だが、かわいそうなことにこの老人はひどく衰えているようだ。寝ているのか、起きているのかは不明だが、トイレの脇に妙な格好でうずくまったままだ。

数時間後、夜も空けて室内の空気を入れ替えようと窓を開けた。あのホームレスが気になり様子を見た。まだいる。ずっと同じところに陣を構えたままだ。ちょうどその時、自転車に乗った女性がやってきて、そのホームレスに近づいて行くではないか。何をするのだろう。

ひとこと何か話しかけたあとで、女性はポケットから何かを取り出し、ホームレスにそれを手渡した。100メートル近く離れた場所から見ていても、それが何かは簡単に想像できた。女性は、さっと振り返り自転車に乗って立ち去った。ホームレスはその姿を見送りながら、両手を合わせた。
何か美しいものを目撃してしまったような、すがすがしい気分を味わうことができた。

そういえば数日前、渋谷の宇田川町で、似たような様子を見た。ホームレスは同じだが、相手が違う。外国人の青年が、ポケットから小銭入れを取り出し、何のためらいもなくホームレスに施しをする。当のホームレスも、その手の外国人が大勢いることを心得ているようで、笑顔でそれを受け取っている。

物乞いをするホームレスというのは、あまり見かけないが、外国人が大勢いる街で、ああも自然に施しをされると明るい風景になってしまうから不思議だ。

ホームレスに施しをすることが善か悪かを云々する気はない。ともあれ、たった一度も、そういう気分になったことがないということが、もっと前に横たわっている大きな問題かもしれない。

ほぼ、一昼夜、うずくまっていた公園のホームレスは、翌朝、どこかへ旅立っていった。

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